書体ができる「配慮」。 〜 情報発信への取り組みとしてのモリサワUD書体〜

写真:株式会社モリサワ仁田野さん(中央)、松本さん(右)、他スタッフ3名

11:20~12:05 森林ステージでのセッションは、株式会社モリサワ 仁田野 良介さまのセッションレポートです。
2年連続でのご登壇、本当に感謝の極みです。もちろんというか席は満席。まずは冒頭、簡単に仁田野様の自己紹介からセッションは始まりました。

モリサワフォントについて

仁田野様は福岡の営業所を拠点に、山口から沖縄まで走り回っているとのこと。DTP黎明期、アドビがモリサワフォントのパッケージ販売を行っていたりとその関係は30年以上になります。その頃のフォントはなんと中古車が買えるほど(!)だったということで、今はモリサワパスポートの1年契約でもリーズナブルな49,800円/年。月々で考えると4,150円なので、企業努力の果てに我々が便利にモリサワフォントを使えているのだな、ということがわかるお話でした。

新しくなったモリサワフォント

新しいトピックとして、ちょうどイベント2日前の10月25日に新書体のリリースがあり、しまなみ・秀英にじみ丸ゴシック・かもめ龍爪・さくらぎ・エコー・オーブと、様々なカタチを持った新しいフォントの紹介をされました。「しまなみ」が非常に使えそう!美しいプロポーションのフォントでした。 また、昨年も紹介された「みちくさ」の連綿体機能について、Adobe CC 2017年版のイラストレーターでは一部しか使うことができなかったのですが、2018年版からは普通に使うことができるようになったとのこと。嬉しい報告ですね! フォントの詳細は是非モリサワのウェブサイトにて確認していただきたいです!

フォントの定義

そこから、基本的なフォントの話へ。呼び方による定義の違いをまず説明されました。

  • 文字……言葉や情報言葉や情報を記録、伝達するための記号
  • 書体……文字の集合体を一定のルール、特徴でデザインしたもの
  • フォント……コンピューターで使うためにプログラム化されたもの。

このように、呼び方によって持っている定義が違うということ。そして「フォント」には

  1. 感情や心象を表現
  2. 可読性/視認性の向上
  3. 価値や品位を向上
  4. 製品機能を向上
  5. 情報伝達への合理的配慮

以上のような基本的な機能や役割がある、という説明をされました。
適切に選んで使用することで、伝えたい情報がより正確に伝わり、しかも便利に使える。そういう機能をフォントは持っているということでした。これは日々業務の中でモリサワフォントを始め数々のフォントを扱う私としても、非常に納得できるお話です。

UDフォントという「配慮」

そんなフォントを取り巻く環境の中で、最近では「配慮」が非常に社会の中で求められてきている、ということでモリサワUDフォントの話へ。
昨年も触れていらっしゃいましたが、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて「すべての人にむけた」よりよい情報伝達においてフォントに大きな役割が期待されているということをお話されました。

そこで例として紹介された書体が「UDデジタル教科書体」。

児童が正しい書き順を知るための書体で、筆跡が「筆書タイプ」のものから「マーカータイプ」に変更されたフォントです。現在では学校のクラスおよそ6.5%の子どもたちに発達障害(ディスレクシア)があることが知られており文字が見えにくかったりするそう。そんな子たちでも線の太さが均等なため認識しやすいよう配慮された書体です。

その機能性の高さから、「windows10に搭載したい」マイクロソフト社より熱烈な打診があったため、実際に搭載したということでした。また、これがきっかけとなりキッズデザイン賞 特別賞を受賞しました。

この話を通して、マイクロソフト社ほどの大企業からも要望がある程、社会の中で「UD」が求められてきているということ、また、近年制定された障害者差別解消法に代表される「誰にでも見えやすい配慮」がこれからのデザインには必要であり、使う先にいるターゲットにむけて正しくフォントを選んでいくことが必要、と説かれていらっしゃいました。

MORISAWA BIZ+

最後に、そんなUDフォントが使えるMORISAWA BIZ+についてお話がありました。高機能なUDフォントが使い放題で価格は驚きの年間3,600円! モリサワさま大丈夫ですか!? 安すぎやない!? そんな話もありつつセッションは終了。

非常に内容が濃いセッションで、「UDフォント使いづらい問題」などと言っていた自分も、再度一度UDについて認識を新たにしなくてはならないな、と強く感じた大満足のセッションでした!

文字は、ヒトが手にしたかけがえのない情報伝達手段の1つです。フォントというカタチを通して、その意味を我々ももう一度考えていく必要がありそうです。モリサワさま、ありがとうございました!

レポート:サイコ

写真:株式会社モリサワ仁田野さん(中央)、松本さん(右)、他スタッフ3名

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