クリエイティブハントスタッフでWordBench山口モデレーターの石川です。
森林ステージのお昼休憩後の最初のセッション(12:40~13:30、2コマ目)は、大村印刷株式会社の田原誠之さまから、「クリエイティブとシステマティック~何度でも蘇る作業環境の作り方~」のテーマでご登壇いただきました。
システマティックであることの大切さ
クリエイティブの現場では、最新バージョンが必要になることはもちろん、過去の特定のファイルが欲しいというケース、必要なファイル一式をまとめて渡したつもりが一部が欠けていたといったケースは何かとあるものです。このようなありがちな課題を解決する方法としての「システマティック」、すなわち計画的な保全を行うことの重要さとそのしくみや技術についてお話し頂きました。
Gitなどを利用する
制作したデザインやコーディング、プログラムなどのバージョンやファイルの管理といえば、ファイルやフォルダ(ディレクトリ)などを複製して保存するなどの手動でのバックアップが容易に想像できますが、手動ではミスが生じることや属人的になるということから、実現するためのしくみを、
- git
- vagrant
- ansible
の3つのソフトウェアで実現します。同時に、どのような理由で変更を加えたのかといった情報なども記録し、目的の状態をいち早く見つけたり、取得したり、戻したりできるようにするしくみがポイントとなります。
どうやって利用すればいいのか
このソフトは制作現場では馴染みはあってもすべてのクリエイターが知らないことも含め、どのようなソフトを使用するのかや、どのような仕組みなのかを解説してくださいました。
たとえばgitではコマンドだけでもpull、push、fetch、merge、checkout、branch、diffなど多数のしくみとそれに対応するコマンドがあり役割が定められています。
点数は多いのですが、必要最小限の範囲で今回のように必要な更新情報の保持のしくみづくりだけであれば、pull、push、fetchについて知っていればよく、共同作業等もなければpullとpushで良いということになるようです。
要点は絞られても技術的な内容はわかりにくくなるため、理解を得やすいよう、いくつも専用の用語がある中で、これらの3点であれば、サーバーへ送る、サーバーから取得する、更新を確認するといったかたちです。
他のソフトも同様で、vargrantは類似する技術・ソフトウェアであるXAMPPを例に、ansibleはことばでは説明が難しい部分も多いため実際のデモを交えながらお話しくださいました。セッション全体としてもデモを中心にしていただいており、どのように動作するのかはもちろん、どのように設定すれば良いかを具体的な操作とコツを説明しながらでした。
まとめ
まとめの最後の一言は、「システマティックにして、クリエイティブに時間をかけよう。」というキーワードで締めくくられました。
私のようにWeb制作やシステム開発のような比較的利用されている業界以外でも、もっとせめてgitだけでも普及してほしいという想いは、システム開発の現場にいる私としても同感で、クリエイティブの世界で長く活躍される田原さまだからこその試行錯誤で得られた知見を披露してくださるとともに、自らの得意とするクリエイティブに最大限のエネルギーを集中することの大切さを強く感じるセッションでした。
お忙しい中貴重なお時間とお話しをくださりありがとうございました。
セッション資料
レポーター:ヤスベェ3世!
小谷杯&暗黒星雲賞コスチューム部門の「サーバルちゃん」
小谷杯と暗黒星雲賞副賞を両方もって。
小谷杯は6年ぶり3回目、暗黒星雲賞は3連覇で、ダブル受賞は初! #SF56 pic.twitter.com/PJZBOmBjf0— ヤスベェ3世!@WCT登壇サーバルちゃん (@y3sei) 2017年8月27日